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海外マーケティングで、トライを決める

日本ブランドが海外ラグビーファンについて知るべき5カ条

海外マーケティングで、トライを決める

2019年ラグビー・ワールドカップをわずか数ヶ月後に控え、世界中のラグビーファンの目が日本に向いています。日本ブランドが、海外オーディエンスに向けて語る絶好の機会が訪れています。

Unrulyの分析チームが解析した結果、日本ブランドが動画を使って海外市場でターゲットにリーチし、エンゲージメントを獲得しようとする上で役に立つ手法が明らかになりました。この手法なら、スポンサー企業もそうでない企業も、この世界最高峰のスポーツイベントを最大限に活用できます。ちなみに、過去のトーナメントを振り返ると、人気の高い動画の多くは公式スポンサー以外のブランドのものでした。

分析対象は、ラグビーを熱烈に愛する国々である英国、オーストラリア、ニュージーランド。これらの国々のオーディエンスと、日本国内のオーディエンスの違いを理解するため、2015年ラグビー・ワールドカップで最も人気が高かった二つの動画を分析しました。

ヘッドフォーンメーカーのBeats by Dre クリス・ロブショウ (イングランド) リッチー・マコウ (オールブラックス) というキャプテン二人を起用した動画を制作しました。

このブランドは、そもそもスポーツとの関連が薄かったため、ブランドを知らないラグビーファン、ラグビーに興味のないBeatsファンがエンゲージするコンテンツを作るという、大きな課題に直面しました。「The Game Starts Here」のキャンペーンが伝えたのは、アスリート達の試合前のストーリーと、イングランドとニュージーランドのキャプテン達にとっては、勝利への戦いはトーナメント開始の何か月も前に始まっていたこと、でした。

キャンペーンはビュー数 3,200万、66300万のPRリーチを記録し、ブランドのファン数は45.4万に到達しました。Eコマース売上は、25%もの伸びを記録しました (出典: Beats)

以下に、動画を上手く活用するための5つのヒントをご紹介します。

1. ターゲティングが重要: オーディエンスは誰か、どこで見つかるかを知る

ラグビーはオリンピックやサッカーに比べて幅広く浸透しておらず、熱狂的ファンは少ないため、広告宣伝において有名人に頼る場合は特に、熱狂的なラグビーファンを探すことが不可欠です。ニュージーランドは例外で、ラグビーファンでない人を見つけるのが難しい小さな市場です。

英国版のThe Game Starts Hereは、Facebookのビュー数が1千万とニュージーランド版(630万)よりも高く、英国で多くのメディア予算を投下したことを示唆しています。一方、ニュージランド版では、72千ものエンゲージメントがあり、英国版の28千をはるかに超えました。メディア予算をターゲティング精度を高めて投じれば、英国のキャンペーンはもっとエンゲージが高められた可能性があります。

 ビューエンゲージメントエンゲージメント
ニュージーランド6,350,30972,1951.14%
英国10,139,20727,8270.27%

2. 文化的要因: オーディエンスの傾向を理解する。

視聴者による動画コンテンツの受け取め方は、国別の文化要素による影響が絶大です。例えば、オーディエンスの文化的な特性におけるわずかな違いでさえも、大きな反応の差を生み出すことがあります。

ホフステッド理論に基づくフレームワークを活用して分析した結果、”個人主義”(人々が自分自身を「私」もしくは「我々」と考えるかどうか)が、今回の検証動画に見られる重要な文化的視点の一つとして特定できました。つまり、英国、オーストラリア、ニュージーランドのオーディエンスは、日本人よりも個人主義的な傾向があることが明らかになりました。動画キャンペーンでは、個人の挑戦や、キャプテンが抱えるプレッシャーに焦点を合わせたことが好結果につながりました。一方で、日本人の文化的な特徴を踏まえてキャンペーンを成功させたい場合には、ブランドは、個人よりもチームに焦点を当てると良いでしょう。

二つの動画検証で明らかになった、もう1つの重要な文化的視点は、”バッジアピール” 、つまり視聴者が見た目の美しさや流行性に惹かれるか、あるいは惹かれないか(=機能性重視)でした。ニュージーランドの視聴者は、イギリスやオーストラリアの視聴者よりも、やや流行性が高い傾向があるため、有名人の起用は他の国々よりもニュージーランドで上手く機能しました。日本人はさらに流行性を好む傾向が強いため、日本人向けのキャンペーンでは、有名人が効果的に作用します。

3. 感情がインパクトを生む: 視聴者の感情の高まりをうまく活用する

他のスポーツ広告と同様に、ラグビーの広告は感情を強く揺さぶる傾向があります。感情反応が高い広告は、売上を伸ばしますNielsen調べ)。ラグビーの広告にとって重要な感情要素は、ひらめき、誇り、幸せ、温かさで、これらの感情を揺さぶる広告は成功する傾向があります。多数のラグビーの広告が国の威信に焦点を当てますが(上述の検証動画二点も同様です)、ユーモアといったあまり他社が活用しない感情を狙うのも効果的なやり方です。

英国の衣料ブランドJacamo Hakarena広告でユーモアの感情要素を非常に効果的に活用しました。この広告はFacebook1百万ビュー、2万5千のエンゲージメント数(エンゲージメント率は約2.5%)を獲得しました。やや微妙な感情(ユーモアなど)を狙う広告の場合、想定した反応が実際の反応と一致するかを確かめるため、配信前に事前テストをすることをお薦めします。

感情の中には国境を越えて通じやすいものがあり、人は皆、同じ理由を求めますが、ある国で陽気と見なされることを、他の国では不快と見なされます。この動画は多くの場合、うまく受け入れられたものの、グループによっては賛否両論の様々な反応がありました(マオリ族の伝統を侮辱するとネチズンが主張)。

4. KPI設定を明確に: 短期的売上 vs 長期的ブランド構築

英国マーケティング・データバンクIPAのピーター・フィールドと、当社Unrulyとの最近の研究では、動画コンテンツと事業収益の関連性が明らかになりましたが、明確なKPI設定の必要性も強調する結果が出ました。動画コンテンツへの視聴者の反応のうち、短期的売上に繋がるもの(例えば、売上の急上昇)は、長期的なブランド構築に繋がるもの(例えば、価格感応度や差別化)とは大きく異なります。

短期的売上が目標ならば、動画では製品を強調して、広告が競合他社のものと誤認されないような明確なブランディングを行い、ユーモアの感情要素を盛り込むことをお薦めします。当社の研究によれば、ネガティブな感情反応には、短期的売上と正の相関が見られ、短期的売上と相関性が高い感情要素の一位は、軽蔑(見下すような)次がユーモアでした。

長期的ブランド構築が目標ならば、ポジティブな感情を引き出し、広くアピールできる説得力の高いストーリーを伝えるようにしましょう。ラグビーのコンテンツで特にうまく行くテーマは、「逆境からの復活」と「弱者支援」です。国の威信を利用することは、ラグビーの広告を勝利させるの法則であり、上述のBeatsの動画も主役に国民的ヒーローを起用しました。

5. メディアプランニング: コンテンツ投入の時期を熟考する

自社のブランドを、スポーツイベントのどの時期に関連付けたいかを考え、それに応じて配信戦略を計画しましょう。当然、多くのブランドが実際のトーナメントに近い週に広告を集中させますが、他社ブランドがあまり動かない時期に投入することで目立つ場合もあります。開催前の序盤に投入すれば、先行者メリットが得られ、決勝戦の近辺に投入すれば、ブランドは祝福役を担うことができます。

オリンピックでは広告が氾濫するため、ピークとなる2週間の間に広告を出すブランドは熾烈な競争に直面します。英国のTV局であるChannel 4は、これを避ける目的で、トーナメントが終わる瞬間まで「We’re the Superhumans」広告を控えていました。この巧みな戦略が奏功し、この広告は3.2%のエンゲージメント率を達成、全てのオリンピック関連動画におけるシェア・オブ・ボイス(SOV)を40%獲得するという記録を残しました。

日本ブランドにとっての絶好のチャンスを活かし、広告活動を楽しみましょう!

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